大人の歯の治療と同じで、子供の歯の治療にもいろいろな方法と材料があります。
削らずに進行止めのお薬の治療。
小さい虫歯は削って詰め物。
大きくなったら神経の処置をして被せる。
基本的な歯科医師、誰がやっても同じですが、実際の治療では先生によってやや異なってきます。
お母さん方にとってよく判るのは詰め物。小さな詰め物には大きく分けて2つの方法があります。
白い詰め物をして1回で終わるか、
型を取って型の金属の詰め物を作ってセメントで着けるか。
この2通り。
白い詰め物のメリットは
① 1回で治療が完了する事。
② 見栄えがきれいな事。
③ 安上がりな事。
(患者さんにとってもドクターにとっても)
白い詰め物のデメリットは
① 比較的割れやすい。
② 中で虫歯が広がっていても解らない
(詰め物がはずれないので、虫歯の発見が遅れる)
③ 精度が低い(歯と詰め物の間に隙間が出来やすい)
④ 治療の出来映えが先生の技術によってムラがある。
⑤ 愚図る子供には完全な治療は難しい(唾液が入ると失敗)
金属の詰め物のメリットは
① 丈夫だ。
② 精度が高い。
③ 治療した場所が良くわかる。(これは欠点でもあります)
④ 技術による出来にそれほどムラがない
金属の詰め物のデメリットは
① 外れやすい。(これは利点でもあります)
② 治療が2回かかる。
③ 2回かかるので少し割高
こんな所でしょうか。
乳歯の詰め物を行なう時、私は見栄えよりも治療の完璧さを選びたいと考えています。また子供はいったん詰め物をしても必ずしも、その歯が二度と虫歯にならない訳ではありません。それどころか口腔環境の関係上、かなりの確率で二次カリエス(二度目の虫歯)に罹患します。詰め物の下でそれが起きたとき、私は速やかに詰め物が外れてほしいと考えています。その方が虫歯の小さいうちに発見する事が出来ますし、簡単な治療で済みます。
乱暴な言い方かもしれませんが乳歯は生え変わりの歯ですから金属を詰めてもいずれは抜け落ちます。
このような理由から私は乳歯の詰め物は金属を選ぶようにしています。
以上の説明をして尚かつお母様からどうしてもと云われれば、白い詰め物もしますが・・・。
最近乳歯に白い詰め物をしている子供達が増えました。中には素晴らしい治療をなさっておられる先生も多いですが、なかなか難しい治療だと見るたびに思っています。
さてあなたはお子さんの治療にどちらを選びますか。
どの先生もお母さんが云えばどちらでも選ばせて下さると思います。
2012年6月15日
坪内英之